July 5,

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007年にファッションブランド「カルバン・クライン」でランウェイデビューし、2008年にはピープル誌の「ベスト・モデル」を受賞。数えきれないブランドのランウェイを歩き、広告塔をつとめ、モデルとしては初めて本格的にソーシャルメディアで発信を始めるなど、常に時代の最先端を切り拓いてきたカーリー・クロス。カーリー(彼女は次世代のシンディ、ナオミ、クリスティなので、ファーストネームで呼ぶことにする)は、まるで時代を牽引してきたスーパースターたちのよう。90年代のスーパーモデルの時代を彷彿とさせる何かがある。最高のランウェイを歩き、あらゆる魅力的な広告やキャンペーンに登場しながらもどこか親しみやすい存在であり、単に美しさの象徴となるわけではなく、有名な人物であること、モデルであることの意味を軽やかに変えている。もし同じショーのためにミラノにいることがあったなら、親友になれるような気さえ感じさせてくれるほど。

 

高校時代にモデルとしてのキャリアをスタートさせたカーリーは、すぐに故郷のミズーリ州セントルイスを離れ、ニューヨークでカメラの前に立つ生活を送るようになる。しかしそこにあるのは、雑誌で見慣れた、演出されたイメージばかりではない。カーリーはオープンな性格で、ファンに自分の生活のすべてを見せることを大切にしている。数年前に開設したYouTubeチャンネルKlossyでは、日常(ランニングやワークアウト後のルーティン)から非日常(アカデミー賞のレッドカーペット)まで、フォロワーを連れてあらゆる場所に向かう。また、社会貢献活動にも時間を惜しまない。自身の好奇心からコーディングを学び、他の若い女性やノンバイナリーにも同じようにコーディングを学ぶ機会を与え、理系分野のリーダーになれるようにKode With Klossy(コード・ウィズ・クロッシー)というNPO(非営利団体)を設立した。


彼女の魅力はまだまだ語りつくせないが、今回はカーリー本人に直接、彼女自身について語ってもらった。この記事を読めば、彼女がなぜ本当の意味での“スーパーモデル”なのかきっとわかるはず。

 

ー モデルになりたいと思ったのはいつ頃?
最初からこれが私のキャリアになると考えていたわけではなくて。ミズーリ州セントルイスのショッピングモールでスカウトされた時は、医師である父の跡を継いでいつか“ドクター・クロス”になるんだと考えていました。だからモデルの仕事を始めて世界中を旅して仕事をするようになっても、最初の数年間は放課後の趣味と考えていたんです。高校を卒業しニューヨークに引っ越して初めて、「よし、やろう。全力を尽くそう。」と思うようになったんです。

 

ー エスティ ローダーの一員になると決まった時、どんな気持ちでしたか?
夢が叶った!と。本当に。私のキャリアにおいて、美容業界でのモデル契約は達成したいことの中でも最上位にありました。最初から私のキャリアの夢リストには、「VOGUEの表紙」と「エスティ ローダーとモデル契約」があって。セントルイスの高校生としての生活と、ニューヨークでファッションモデルとしての生活を並行して行き来する飛行機の中で、自分の夢について日記を書いていたんです。「やりたいことリスト:エスティ ローダーとのモデル契約」と書かれたその日記を、探さないとね!だから、今でもまだ夢のようで、本当にありがたく興奮しています。このような豊かなレガシーを持つブランドの一員になれることをとても光栄に思っています。エスティ ローダーは超一流のブランド。私にとってエスティ ローダーの一員であることは、アイコニックな広告以上の意味があります。私はエスティ ローダーという企業が象徴するものにとても刺激を受けているから。ブランドの歴史、エスティ自身の起業家精神、比類なき科学的研究、そして世界中の女性のために最高級の製品を生み出すことへのコミットメント。エスティ ローダーファミリーの一員になれることを、これ以上ないほど誇りに思っています。

 

ー あなたにとってこの仕事の魅力とは?
私はとても好奇心が強いので、ビジネスやさまざまな業界について学び、モノがどのように作られ、人々がどのように世界を見ているのかを理解することが大好き。この仕事ではクリエイティブな人たち、ユニークな人生経験を持つ多くの人たちと一緒に仕事ができる。ファッションでも、カメラマンでも、メイクアップアーティストでも、経営サイドでも、本当に素晴らしい頭脳の持ち主と接することができるのがこの仕事の好きなところです。モノがどのように作られるのかを学ぶのも好き。先日エスティ ローダーで製品開発に携わっていた研究者に会ったのですが、製品開発の裏にある科学と芸術について学ぶことができ、とても興味をそそられました。

すべての女性は、自分が望むことは何でも叶えることができる。
美しいと感じること、美しくありたいと願うこと、自分が情熱を注いでいることが何であれ、
それを止める必要はない。

 

ー モデルの仕事で大変なことは?
この業界はとてもグローバルなので、仕事をしながら旅をすることが出来るのは魅力的。一方で、常にスーツケースで移動生活することは負担になることもあり、諸刃の剣のようなものかもしれません。

 

ー 多忙な中、女の子やノンバイナリーの子ににコーディングを教える
「Kode With Klossy」(コード・ウィズ・クロッシー)を設立されましたね。
そもそもどんなきっかけでコーディングを学ぶようになったのでしょう。

幼い頃から数学や科学に興味があり、キャリアは違う道に進みましたが、その興味と好奇心は私の中にずっと残っていました。ファッションのキャリアを深めるにつれて、テクノロジーが自分の業界をどのように変えていくのかがわかるようになったのです。自分の業界だけでなく、あらゆる業界を変えつつあるテクノロジーの仕組みを理解したいと思い、初めてコーディングのクラスを受講しました。その授業を受けて、なるほど!と思ったんです。コードで構築できるものに限界はなく、学ぶ機会と素晴らしい先生を与えられれば誰もが学ぶことができる、と。私は他の若い女性やノンバイナリーにも同じようにコーディングを学ぶ機会をつくり、理系分野の次世代のリーダーになるために必要なスキルを身につけてもらうために、Kode With Klossy(コード・ウィズ・クロッシー)を立ち上げました。

 

ー テクノロジー分野におけるファッションと美容について、テクノロジーというと
堅いイメージがあり、逆に美容は時に軽薄に見られることがあるように思います。
この2つの世界を、どのように融合させるのでしょう?

この2つの世界はすでに融合していると思います。実際に美容とテクノロジーは、革新と創造を可能にする力と、その機会がある唯一の交差点に位置していると。私自身のキャリアを通じて、Eコマースやウェアラブル・テックの台頭、3D撮影など、ファッションとテックがますます発展していくのを見てきました。この2つの世界は今後ますます絡み合い、多くの変化とイノベーションがもたらされると感じています。

また「美」とは、必ずしも軽薄であったり、見栄を張ることではない、ということも伝えたい。美とファッションは自己表現を可能にします。自信と個性を刺激することで、最高の自分を感じさせる力があり、その力は過小評価されてはならないものです。

 

ー エスティは“Every woman can be beautiful.(すべての女性は美しくなれる)”という言葉を
残していますが、あなたの活動はコーディングを通じてそれを体現しているかのように感じます。

どんな女性も好きなことをしていい!ありのままの自分を美しいと感じていい。ひとつのことに捉われる必要はないし、それが今私たちが生きているこの世界の面白さ。次世代の子たちは、自分が夢見るものなら何にでもなれる、できる、創れるということを分かっていると思います。

 

カーリーの活動は年を追うごとに拡張し、彼女自身の可能性は広がり続けている。何かを好きだという気持ちを軸に、情熱を持って取り組むこと。好奇心と勇気を忘れず、自ら新しい世界を切り拓くこと。そして今は、多くの女の子やノンバイナリーの学生たちにコーディングという手段を通じて、新たな夢の可能性を渡し続けている。エスティ ローダーでは、アイコニックな存在としての彼女だけではなく、共に社会貢献活動を行なっていくことで、あらゆる女性・ノンバイナリーたちに無限の可能性に気づくきっかけを創っていく。カーリーとエスティ ローダーが取り組む今後の活動を、ぜひお楽しみに。

 

カーリー・クロス
1992年、米イリノイ州シカゴ生まれ。13歳の時に地元で開催されたモデル事務所主催のチャリティ・ファッションショーでスカウトされると、1年後にマンハッタンでモデルとしてのキャリアをスタート。2007年『Teen VOGUE』に登場、同年、カルバン・クラインのショーで初めてランウェイデビュー。2008年にはピープル誌の「ベスト・モデル」に選ばれ、それ以降1年間で64メゾンのファッションショーに出演。2010年にはアメリカで大人気のテレビドラマ『ゴシップガール』第4シーズンに本人役として登場。世界各国の『VOGUE』の表紙に起用された。科学が好きで、2017年春にNetflixで放送開始した科学番組『ビル・ナイ・セイヴ・ザ・ワールド(Bill Nye Saves The World)』の科学特派員(リポーター)を務める。最近では実業家としても活躍。飢餓撲滅のためのプロジェクトなどに取り組み、2014年からコーディングの勉強をスタート。2015年秋にはニューヨーク大学の学生として学業に励みながら“Kode with Klossy”の構想を練る。2018年にエスティ ローダーとの契約を発表、次世代の若い女性の教育と自信の醸成へのコミットメントを推進するためプログラミングキャンプや奨学金・イベントなどを実施している。

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